高齢化社会での探偵相談
2021年06月2日
年々、高齢者が増加していっている高齢化社会の日本ですが、探偵への依頼相談者の年齢も高齢化しています。
昔は、60歳代にもなると、老人という感じでしたが、現在はまだまだピンピンしている方も多く、70歳代の浮気調査もあるほどです。
しかし、高齢者の老化の度合いは人それぞれであり、やはり70歳以上となると、色々な面で老化が見られる方も相当数はいらっしゃます。
探偵に依頼をされる場合、筋力や反射神経等の老化であれば問題ないのですが、脳の老化、又は認知機能の低下がみられる場合、依頼を受けるものかどうか、悩ましい場合があります。
あまりにも荒唐無稽な話をされたとしても、世の中には信じられないような事象が起きる場合があり、実際に調査をしてみないと判断できないので、認知症や妄想の類かどうかを見極めるのが難しいのです。
ただ、物理的に絶対にあり得ないという話の場合は、高齢者に限らず、妄想や幻覚幻聴の類と思われますので、丁重にお断りはしています。
しかし、ちょっと変わった出来事だなと思っても、話に整合性があり、支離滅裂な事を言っているのでなければ、依頼は受ける事になります。
以前、80歳になろうかという老婆の方が、60歳代の老人の男性からストーカー行為をされているという案件がありました。
そのストーカーは、造園関係のいわゆる庭師でして、自宅の庭の植木の剪定をしてもらった事があるというのです。
その後、自分が出掛けた時に、ちょくちょく見かけるので、付き纏われている気がするというのが依頼の動機のようですが、見かけた時はそのストーカーは何をしているのですか?と聞くと、どこかの家の庭木を切っているというのです・・・
庭師を仕事としている以上、自分の近所の家の植木の剪定を請け負う事もあるでしょうし、それは単に近所で仕事をしていただけと断定出来ます。
仕事をしている姿を何度か見かけただけで、自分をストーカーしているというように思い込んでしまうのは、被害妄想か、認知機能の低下、又は既に認知症が進んでいると思われます。
なので、家族には相談したかどうかを聞きますと、相談はしたけど、全く相手にしてもらえず、気のせいだと言われて困っているというのです。
困っているのは家族の方であり、これは受けてはいけない案件だと思い、もう少し様子をみましょうという事で、面談を切り上げました。
このように、高齢者の相談者が増えて来ると、老化による認知機能の低下で、正常な判断が出来ていない方からの依頼が入る事があります。
しかし、そのまま依頼を受けて、有りもしない出来事に対して調査をして料金をもらうのは道義的に良くないと当社では考えます。