無い所からは取れない?
2021年06月6日
不倫を原因にした離婚において、慰謝料はつきものです。
しかし、払える原資が無ければ、払わせる事はできません。
払う義務があるのだから、借金してきてでも払えという事も出来ませんし、そんな一文無しのような人間に、お金を貸してくれる人もそうそう居ないでしょう・・・
慰謝料の支払いにおいて、連帯保証人の記述でもあれば、代わりにその保証人に払ってもらう事は可能性としてはあるので、お金の無いような相手だった場合は、保証人を付けてもらう事も考慮するのは一つの手です。
しかし、そんな信用の無い人間に保証人になってくれる奇特な人もあまり居ないので、可能性の問題として考えておく程度の話になります。
これらは、あくまでも本当に払える資産が無い人の場合の話であり、逆にあるのに払わない者が後を絶たないケースがこれまでには見られていて、問題になっていました。
不倫が原因で離婚し、慰謝料や養育費を払うという公正証書まで作っておいても、それを反故にする者が多く、社会問題になり、賠償責任があっても知らんぷりしていればそのうちに時効になるだろうという風潮が出てきて、法律も改正になったほどです。
では、これまでには、しらばっくれていれば、払わないで済んでしまった慰謝料について、法的にどのように改正されたのかといいますと、「財産開示手続」という制度の内容が改正されました。
これは裁判所から、市町村や年金事務所に照会をして、相手の勤務先が分かるようになります。
同じように裁判所から銀行の本店に照会をして、相手の銀行口座がどの支店にあるのか分かるようになります。
勤務先が分かれば、給与の差し押さえが可能となり、銀行口座が分かれば、口座を差し押さえる事が出来ます。
銀行口座の照会があれば、対象者に連絡がいきますが、その前に申し立てをした側に情報がいきますので、預金を隠される前に差し押さえをしてしまえば良いのです。
これまでは、上記のような個人情報の開示が出来なかった為に、いくら正当な請求をしても、無視されたままどうする事も出来ないで泣き寝入りという案件が横行していました。
そのような理不尽な態度に対応出来るように施行された法改正です。
払える資産があるのに、払えないと嘘を付き、被害者に対しての正当な賠償をしないという不誠実な行為はこれからは難しくなるでしょう。
ただ、本当に払えないような無敵の人だった場合は、どうしようもないという事は冒頭で述べた通りです。
なので、配偶者の浮気相手が、収入の無いような社会不適合者だった場合は、無い所からは取れないという現実となります・・・