成功報酬の錯誤
2021年02月16日
探偵社のホームページや看板、チラシの類の宣伝文句で「成功報酬」という文字を見た事があるかと思います。
さらに「証拠が取れなければ料金無料」という謳い文句、もっと具体的に「浮気の証拠が取れなければ無料」などという宣伝をしている探偵社もあります。
「成功報酬」と「証拠が取れなければ無料」までなら、虚偽の宣伝にはなりませんが、少し錯誤で誘導する勧誘といえる部分はあります。
何故なら、探偵業界の「成功報酬」について、誤解をしている一般の方がいらっしゃるからです。
探偵側の「成功」とは、調査を失敗せずに完遂した場合の事を指します。
尾行を失敗したり、張り込みが見つかったりして、探偵側の過失によって調査を失敗した時が、成功しなかったという状況であり「成功報酬」をうたっていない探偵社でも、その日の調査費は無料とする場合がほとんどです。
では、一般の方達、依頼者側の「成功報酬」の定義はどうかといいますと、調査の失敗は無いが、調査結果が「浮気していない」という証拠になった場合に「成功じゃない」という認識をしてしまっている場合があります。
この認識の違いはどこから出ているのかと言いますと、前述した「浮気の証拠が取れなければ無料」という宣伝文句を出している探偵社が存在しているのが原因です。
この「浮気の証拠が取れなければ無料」という料金体系は、完全に虚偽であり、絶対に無料にはなりません。
もし存在したら、ぜひ無料の探偵社があったと報告してほしいものです。
調査員を動員し、調査車両やその燃料代、公共交通機関を使用すればその交通費、事務所の管理費や宣伝広告費が実費として掛かっているのに、実働調査をして、その結果が「浮気の事実無し」だったら、お金は要りませんと言うのであれば、それは、もはやボランティア活動であり、経済活動とはいえず、探偵の生活は成り立ちません。
無料の謳い文句を出している探偵社でも、調査終了後に絶対に料金は発生してくるのが現実ですので、ここでトラブルになり、探偵業界の評判を落とす結果になるのと同時に、一般人に探偵業界に対して誤解を与える事になるのです。
現実に、当社に相談に来られた依頼者の多くが「浮気してなくても料金は掛かりますか?」と聞いてきます。
「もちろん浮気の有無に関係なく、料金は発生します」と伝えますと、理解力のある方は「当然そうですよね」と言ってくれます。
しかし、誰もが払うお金は少なくしたいと思うのが人情ですので、それじゃあ浮気してなかったら無料の所へ依頼してみようという事になります。
それで、そんな探偵社は存在しないという現実に遭遇し、無料のはずが高額な調査料を請求され、消費者センターへ相談という事になったりします。
世の中のおいしい話ほど、虚実にまみれたものはありません。探偵業界も同じです。