依頼人が精神疾患があると思われる場合の対応
2023年04月20日
昨年末に「電磁波攻撃に対する調査」という名目で、精神疾患があるような方からの調査を受け、ありもしない電磁波攻撃などの調査をし、準詐欺容疑で逮捕された探偵もどきが報道されました。
これにつきましては、従来から精神疾患を持たれている方からの調査依頼について、探偵業界では問題視されていました。
とても難しい問題ですので、当社としても開業したての頃から困惑していました。
明らかに言っている話に整合性が無く、異常な言動を最初からされているのであれば、これは病気であると判別出来るのですが、話に整合性がある場合、例えそれが突拍子もない話であったとしても、当初から否定する事は出来ません。
なぜなら、世の中には不思議な事がありふれているからです。
それは探偵を長年やっていれば分かる事であり、通過点です。
なので、精神を病んでいる方なのか、それとも本当に奇妙な現象に遭われている方なのかは中々判別が難しいのです。
現実の探偵はありとあらゆる知識が有って推理する者ではなく、身に着けた調査技術をもって真実を突き止めていくのが本来の姿です。
ですから、病人なのか健常者なのかの判別は医者ではないので、探偵には白黒付ける事が出来ませんし、素人判断で依頼人を病人扱いしてしまうのもどうかと思います。
前述したように、支離滅裂な会話をされる方であれば、医者でなくともこれは異常だと思えますが、そこまで重症でなければ判別は困難です。
となるとどうすれば良いかという事になりますが、判別が出来ないのであれば、調査をして依頼人の疑念を晴らして解決してしまおうと考えます。
ここでとてつもないトラブルになる事があります。
こういった依頼人様はほとんどの場合、被害妄想に陥っています。
盗聴器や盗撮器を仕掛けられているとか、誰かに付きまとわれている、家に侵入している者がいる、自分の家族しか知り得ない事を近所に触れ回っている人がいる等が代表的なものです。
探偵をはじめて、駆け出しの頃は、正常な意識で言っている事なのか、被害妄想で言っている事なのか、よく分からないものです。
しかし、何度か精神疾患を患っている方の相談を受けているうちに、会話のパターンが読めてくるようになります。
そして問題はここからです。
ベテランの探偵になり、相談者が被害妄想の類で話している事をほぼほぼ見抜いているのに、相手に合わせて依頼を受けてしまう事が果たして良いのかという問題です。
前述したように、探偵は医者ではないので、依頼を受けて調査をしただけという主張をする事もできるでしょう。
ただしそれは善意を持っての話です。
プロの目をもって、これは被害妄想だなと見抜けているのに、営利目的でそれを受けてしまうのは明らかに悪徳探偵の所業といえるでしょう。
これを自ら宣伝して病人から電磁波調査を受けていたのが逮捕された探偵もどきの者達です。
ここまで悪質な営業をしていなくとも、相談者が病人と知りながら依頼を受けるのはモラルに反しますし、探偵業法や刑法にも触れる事となるでしょう。
もちろん当社では丁重にお断りしている案件です。