物理的に不可能な調査は探偵にも不可能

2024年02月21日

探偵には、一般人には知り得ないデータベースや情報源があるので、素人には無い調査力は確かにあります。
しかし、物理的に考えれば不可能と思えるものは、探偵でも調査は不可能となります。
不可能な調査には色々なケースがありますが、その一例としては「人探し」所在調査があります。
主に借金を踏み倒して逃げた者の所在などのケースが多いですが、人探しには難易度の幅があり、最高難易度となるのは、調査対象者が「世捨て人」のような生活をして逃げている場合となります。
具体的には、社会生活をするにおいて、通常は必要とされるものを全て排除した環境が挙げられ、個別に列挙すれば、車の免許証、住民登録、健康保険や年金の加入、預貯金の口座、クレジットカード、携帯電話の契約やその他もろもろのを全て無くしてしまえば、まさに「世捨て人」となります。
先日逮捕された指名手配犯は、数十年という長きに渡り、前述した社会生活に必要な物を全て排除した生活をし、本名を隠し、偽名で仕事をし、ほぼほぼ感付かれる事なく一生を終える所で、病院において自分から本名を名乗り、実質逮捕される事なく死んでいったというニュースが報道されました。
このように、通常の一般的な社会人に必要なものを何も持たない生活をされてしまうと、首都圏に潜伏していたとしても数十年も見つからないという現実が証明されました。
この手配犯は建設関係に勤務していたようで、偽名を使い、給料は現金で手渡され、社会保障的なものにも入らずにいたという事です。
本来であれば、人を雇用する時には各種保険関係に入らなくてはならないですが、数十年前はそこまで雇用関係に厳しくなかったので、そのまま現在に至ってしまったのでしょう。
おそらくは、会社側から雇用保険や労災保険等に入らないとまずいと言われた事はあるだろうと思いますが、頑なに拒否をしたのだろうと推測されます。
現在においては、中々偽名で雇ってくれる事業所はありませんが、全く無いとは言えず、日雇い労働者をまさに日雇いで働かせ、その日に日給を払うという所謂人夫だしという形態をとって人足を確保している組織もいまだに存在しているので、ドヤ街に住んで日雇い労働をしていれば、世捨て人として生きていく事は可能となります。
このような人が対象者の人探しとなると、調査法としては、ドヤ街や偽名でも使ってくれるような事業所をしらみつぶしにまわって、聞き込みをしていく事になります。
運が良ければすぐに見つかる可能性はありますが、まさに運が良かったらの話であり、日本中のどこに居るのかも分からないのですから、その時間と労力は想像を絶します。
なので、世捨て人を探すのは実質不可能とみて良いと思います。
それは費用対効果からみれば、誰にでも理解できると思います。
極端な話、数千万円や数億円の借金なので、数百万円の調査費用が掛かったとしても、債務者を見つけだす価値はあるという意見もありますが、仮に見つけた所で、ほとんどの場合貸した金は戻ってきません。
身柄を確保した上で、マグロ漁船や蟹工船に売り飛ばして借金を返させるという荒業は現実にはあまりありませんし、あるとすれば反社会的勢力が絡んだ場合となるでしょう。
となれば、貸した金にプラスして調査費用が上乗せされるだけであり、何のメリットも無いのです。
ただ、上記のような「世捨て人」として生活しているのではなく、単に逃げただけで、別の場所で普通の生活をしているという場合はケースにもよりますが、ある程度簡単に居場所の特定が可能です。
これらの説明を依頼人にせず、成功報酬として依頼を受けてしまい、着手金や途中の必要経費を請求し、見つからなかったで終わりにしてしまう悪徳探偵が存在しますので、ご注意ください。