郵便物と社内怪文書
2022年06月8日
探偵は魔法使いではありません。
調べたい事があれば、何でも結果を出せると思っているのであれば、それは幻想です。
テレビや映画、漫画や小説での誇張された表現で、現実の探偵の活動が大袈裟に認知されているからそう思われているのでしょう。
同じ人間が行っている以上、物理的に不可能な事は探偵でも無理となります。
それを超越した行為が可能となるのはフィクションの世界であり、本来の探偵は泥臭い地味な仕事なのです。
まず、大きな間違いを正せば、本来の探偵は刑事事件に絡むことは、ほぼありません。
警察が探偵に接触してくる事も98%あり得ません。
残り2%は何かといえば、元警官が探偵をしている場合があるので、100%ゼロでは無いからです。
とはいえ、捜査に関わる事で探偵に接触している事はほぼ100%無いと言ってもいいでしょう。
この他にもフィクションの世界では可能である探偵の業務で無理なものは多々あります。
その一つは、会社内でのトラブルの解決です。
会社内のトラブルといえば、パワハラや横領、名誉棄損や侮辱系の刑事事件にしても良いものがありふれています。
しかし、大袈裟に言えば密室で行われている事であり、刑事なのか民事なのかの区別も難しい所でもあります。
刑事事件であれば、民事が専門の探偵の出番ではありませんが、証拠をつかむという業務であれば不可能ではありません。
しかし、密室で行われている事象であれば、探偵が直接関与して証拠を取る場合、なんらかの方法で潜入するしかありません。
フィクションの世界では、この辺りの部分が簡単に考えられていますが、潜入調査となると大掛かりな設定を考えなければなりません。
企業に潜入する場合、その企業の経営側の人間からの依頼であれば、いかようにも潜入出来る設定が可能かもしれませんが、末端の社員からの依頼であれば、ほぼ不可能といっていいでしょう。
なので、社内幹部からの依頼ではなく末端に近い社員からの依頼であれば、探偵がその会社に潜り込む事はほぼ不可能です。
という事は探偵の出番は無いといっていいでしょう。
例としては、上司からのパワハラやセクハラ、その他の不法行為の事実を捉えたいという依頼だった場合、それこそ探偵の出番はありません。
なので、自分自身で証拠をつかむしか方法は無く、探偵はその手法を伝授する位しか役目は無いと言っていいでしょう。
車内に出回る怪文書などにおいても同じです。
郵便で送られてくる書面を誰が送っているのかを探偵が調べようとしても、郵便物を誰が出したかを調べるのは膨大な時間が掛かります。
社内に犯人が居たとして、社内全ての社員の指紋データを取得していて、送られてきた封筒や中の書面に付いている指紋と照合するという方法もありますが、不可能ではありませんが、秘密裏にこの調査をする事は難しいといえるでしょう。
また、用心深い怪文書の作成者だった場合、指紋が付かない方法で文書を送っている事もあり、社内全員の指紋データを持っていたとしても、犯人を絞り出す事は無理かもしれません。
このように、探偵ならなんでも調べられるという幻想は持たずに、物理的に可能かどうかを考えてみましょう。
サイエンスフィクションの世界と現実は全くの別物なのです。
探偵とはそれこそ現実中の現実の世界で生きている業界なのです・・・