貸して放置しておくと、借主の物に・・・
2022年04月16日
近隣トラブルの相談をよく受けますが、トラブルになった原因には、中々レアなケースもあり勉強になる事があります。
その一例ですが、ある相談者が、自分の土地を好意で無償で近所の人に貸していた所、既定の年数が経過したから、この土地は自分の物だと言い出されたそうです。
相談者は、何をわけのわからない事を言っているんだと思い、そんな事を言うなら、もう土地は貸さないから土地に入らないでくれと言ったところ、法的には所有権が移っている状態だから、後で正式に手続きするから待つように言われたそうです。
ここからトラブルが始まったそうで、お互いにいがみ合うようになり、上記の土地問題以外のトラブルに発展しているとの事でした。
相手から変な噂を流されたり、ピンポンダッシュをされたり、嫌がらせをされるようになったので、何とかしてほしい、そして土地も返してほしいと言うのです。
探偵に出来る事は嫌がらせ等の証拠をとらえる事であり、土地絡みの民事の話は法律家に相談してほしいと伝えました。
この時、以前に民法の本を読んだ時に、20年間占有している土地は所有権を得られるというものが書かれていたのを思いだし、もしかすると相手の言っている事は法的に成立しているかもしれないので、具体的な状況を民事に強い弁護士に相談してみて下さいと言って、弁護士を紹介しました。
その後連絡が来て、法的には相手に所有権が移っている状態だが、それを成立する為には双方で弁護士を立てて争う形になり、争ってみないとどちらに転ぶか分からないと言われたそうです。
紛争相手が嫌がらせなどをするようになった原因と思われるのは、依頼人が土地を盗られたと近所の人達に話した事のようで、そう言われた恨みからのようだと言うのです。
だとしても、好意で無償で貸してくれていたものを、法律的に自分のものになるからと言って、強硬に所有権の宣言をするという行為は人格的にどうかと思いますし、噂話をされたからと言って、嫌がらせをするのも人として異常です。
なので、当初に伝えた通り、嫌がらせ行為の証拠をつかみ、刑事事件として被害届を出すという作戦にして、それをネタに民事の方も解決してしまおうという戦法に変えました。
庭の物を壊されたりするというので、刑法に触れる行為をされているのは明白ですから、取り合えず証拠をつかむ事に全力をあげ、土地の民事訴訟になる前に刑事事件の方を先に進め、事件化している事を相手に伝えて様子をみる事になりました。
バッチリ自分の犯罪行為が映っている動画を見せられた相手は、完全に降伏し、土地から撤収するので、被害届を出さないでほしいと言ってきました。
この案件では、相手がアホで、嫌がらせ等をしてきた為に、逆転劇が可能になりましたが、全てにおいて粛々と法的措置を取られた場合、おそらくは土地は相手の物になっていたと思われます。
土地や建物、物やお金、みんなそうですが、貸し借りをする時にはきちんと取り決めをして文書に残しておく事が大事ですね。
口約束では言った言わないの水掛け論になりますし、使っていない土地だからと今回のケースのように好意で無償で貸していたりすると、法的に痛い目に遭う事になりかねません。
気を付けましょう・・・