慰謝料の相場と考え方
2021年06月29日
配偶者に不貞行為をされた場合、配偶者とその浮気相手の双方に慰謝料を請求できます。
この慰謝料には、明確な金額の定義はありませんが、だいたいの相場というのは存在しています。
一般的には50万円から300万円と言われており、この範囲内で不倫の期間や悪質性等を考慮して決定されています。
そして、弁護士などの法律家を代理人として交渉してもらうと、上記の金額内で話が進んでしまいます。
しかし、これは法律で定められている金額ではないという事を知っておくべきです。
法律家は、過去の判例や事例を元にして慰謝料の額を割り出すので、相場の範囲内で事を進めるようになるのですが、これに従う必要はありません。
逆に優秀な法律家であれば、加害者側に相場以上の支払い能力があると判断した場合、相場は無視して金額を設定します。
例えば、社会的地位が高く、不倫の事実が公になっては困るような人、一般的な収入や資産を遥かに上回る財産を保持している大金持ちだった場合、標準的な相場で解決する必要はありません。
メディアに出てくるような、国を代表するような経営者に配偶者と不倫をされたとしましょう。
そのような資産家を訴えたとして、300万円位の慰謝料は、さっと出されて即解決となってしまう事でしょう・・・
民法での紛争は、刑法のように刑罰がありませんから、お金を払ったらそれで解決してお終いとなってしまいます。
だったら、最大限のお金を払ってもらうのが、加害者に対しての最大の罰となりますので、相手を見定めて慰謝料の請求をしないと損をしてしまいます。
もちろん、お金の問題ではなく気持ちの問題も含めてです。
なので、不倫相手がどのような人なのかを考慮して、慰謝料の額を検討したほうが賢明です。
例えば、市役所に勤務している夫が、同僚の女性と不倫をしたとしましょう。
同僚ですから、お互いに公務員です。
絶対に市役所内に不倫の事実は知られたくないでしょう。
もしも職場で不倫の事実を知られてしまったら、懲戒免職にはならないにしても、職場の移動等を命じられたという事例を聞いたことがありますし、その後の勤務環境に少なからず影響するはずです。
それは当人が重々知っている事です。
では、この場合のケースにおいて、どれ位の慰謝料を請求すれば良いのか、また代理人を立てた方が良いのか、自分で交渉した方が良いのかを事例を元に考えてみましょう。
前述したように、法律家を代理人とした場合、いわゆる相場で慰謝料を算出してしまいます。
しかし、自分で慰謝料を請求する場合、相場など関係ないので、相場を越えた金額を提示するのは何の問題もありません。
ただ、あまりにも法外な金額に設定することは出来ませんので、その辺のさじ加減は必要となります。
結論から言いますと、上記の事例では、夫も不倫相手も公務員という事で、絶対に不倫を公に出来ないという状況と、ダブル不倫だった為、相手の女性にも配偶者がいて、その配偶者に不倫の事実を知られたくないという要望もあり、相場の上限である300万の倍の600万円で決着しました。
さらに離婚する夫からも同程度の慰謝料を払わせたので一千万を越える金額をとることが出来たようです。
このように相手の社会的な地位と支払い能力、さらに不倫の状況によって、相場を無視した慰謝料の設定が可能となります。
しかし逆の場合、例えば、配偶者が借金を抱えているような人間と不倫していたような場合は相手には支払い能力が無いので、慰謝料はあきらめるしかない事もあります。