深夜のお墓で
2021年03月31日
当社の方針として、調査現場の下見は可能な限り行う事にしています。
しかし、他の案件との日程の絡みなので、下見が出来ない場合があります。
とはいえ、現代のネットの情報量は凄いものが有り、グーグルマップ等を使用すれば、現場の大体の状況は把握できるものです。
ただ、それだけで現場を知ったと思っていると、とんでもない失敗をする事になったり、もっとより良い現場での動きが出来たはずだったと後悔する場合があります。
ある浮気調査において、深夜、自宅に女を連れ込んでいるのでその証拠を掴んで欲しいと言う案件がありました。地方の一軒家で、住宅地でもないので、グーグルマップで見ても、張り込み場所は簡単に割り出せました。
なんと、目の前に雑木林があり、その中に潜めば、対象の家は丸見えであり、対象者が現れれば、難なく証拠撮影は可能と思われました。
とはいえ、下見はしておきたいという気持ちはあったものの、他の案件が立て込んでおり、難易度の低い調査と思われた事から、ネットの情報のみで、本番の調査をする事になりました。
0時を過ぎた頃、対象の家から100mほど離れた場所に車を停め、撮影機材を持って、張り込み場所に行きました。
するとグーグルマップでは、上空からの平面的な映像だった為に分かりませんでしたが、雑木林だった場所が小山だったのです。
さらに、雑木林を登っていくと、何本もある大木の周りに平地の場所が点在しており、何やら人工物が月明かりに照らされていました。
近くまで行くと、その全容が分かったのですが、なんと、そこは「お墓」だったのです・・・
まぁ夜中のお墓を怖がっていては、探偵は務まりませんので、それはいいのですが、とはいえ気持ちのいいものではありません。
対象の家の前の道路から、法面になっていて、上方に向けて急斜面になっていて、斜面にとどまる事が不可能な為、用意してあったロープを使用し、法面に生えている木と身体を結んで、斜面にぶら下る体勢で、丑三つ時に張り込みの開始となりました。
前には対象の家、後ろには墓石が控えているという中、木にぶら下っているという漫画みたいな状況に、自分でも何やってんだ自分は?と何とも言えない感情が湧いたのを憶えています・・・
調査は無事に終わり、何の問題も無かったのですが、時間のある時に調査現場をもう一度訪れてみた所、雑木林の場所以外にも、対象の家を捉える事が可能な場所を発見し、やはり下見は大事だと再認識した案件でした。
このように下見を出来ない場合でも知恵と工夫でなんとかするのがプロの探偵ですが、それでも下見はとても大事です。