18歳の壁
2021年03月27日
以前、家出同然で外泊をしている高校生の娘さんと交際していると思われる男の調査を親御さんからの依頼で受けた事があります。
男は、アニメのコスプレをしながら歌い演奏するバンドのメンバーだとの事で、そのライブを見に娘さんがライブハウスに出入りしているうちに付き合う事になっていったという事でした。
娘さんは高校三年生で、進学を望んでいたのですが、勉強をしなくなり、学校も欠席するようになってきて、明らかに交際相手の影響があると思うと依頼者様である両親は仰っておりました。
詳しい話を聞いていくうちに、相手の男に対する処置が難しい事が判明しました。
娘さんはまだ高校生ですが、四月生まれな為、既に18歳に達していたのです。これが18歳未満であれば、茨城県青少年の健全育成等に関する条例に違反しますので、警察に被害届を出し、処罰してもらう事が出来たのですが、18歳以上になっていると適用できません。
まだ高校生だと思っても、年齢での区切りがある条例ですので、どうしようもありません・・・
しかし親御さんとしては、せめて高校生のうちは、健全に生活させたいと思うのは当たり前ですし、きちんと学校に行き、希望していた進学も叶えてもらいたいでしょう。
という事で、どんな男なのかをまず知らなければ、対処の仕様がありませんので、男の身上調査をする事になりました。
コスプレバンドをしている事は事前に判明していましたが、住所と職業、家族構成等を調べてみました。
住居は市営住宅の団地の一室で、世帯主は母親の母子家庭、兄弟に弟が一人居る事が分かりました。あまり裕福な家庭とは思えない環境です。
仕事は、警備員をしており、主に建設現場のガードマンをしていました。車は小型の大衆車を乗っており、プライベートの仲間はコスプレバンドのメンバー等という事が判明しました。
特に素行が悪いという事もなく、昼間は仕事に行っており、一般的な青年という風に見受けられました。
ただ、青少年の条例を知ってか知らずかは分かりませんが、受験生の高校生を夜中に連れ回しても犯罪行為にならないとはいえ、その女の子の両親がどれだけ心配しているかは、大人であれば理解できるはずです。
その辺りは非常識な所があると思われ、主観を交えて報告書を親御さんに渡しました。
条例には18歳という壁があり、事件化する事はできないので、あとは依頼者様の家庭での娘さんとの話し合いと、相手の男との交渉で解決するしかないでしょうと伝えました。
この案件では、司法関係者や法律家にも相談したのですが、やはり18歳に達しているとどうにもならない問題であるという事を知りました。
確かに、高校に行かない人も居るので、年齢で区切るしかないのでしょうが、そうなるとまだ学生生活が残っている高校生でも18歳になれば青少年では無くなって自由を得るというのは、今回の案件でも分かるように、問題じゃないかと思いました。