結婚前調査について、探偵側のリスク
2023年06月22日
古くから興信所や探偵によく依頼される業務の一つに結婚相手の身上調査があります。
これは自分自身が良く考えれば、依頼したくなる調査だという事を実感できるのではないでしょうか。
自分が結婚する場合でもそうですし、身内が結婚する場合でもそうですが、結婚という法的に婚姻関係になり、お互いの身内同士が親戚になるという軽々に届けを出せるようなものではない行為が結婚ですから、相手が事実どういった人物なのかを確認しようとするのは当然の行為といえるでしょう。
例えば、結婚するにあたって、自分自身の身上書を作り、これが自分の経歴と関係者ですと結婚相手に提示したところで、それが本当かどうかはその場で判別出来ません。
そしてそれが本当だったとしても、少し離れた親類に問題のある者が潜んでいる可能性も無いとはいえません。
結婚相手本人がとても人間性の良い人で、結婚相手としてなんら問題のない人だと証明されていたとしても、その背後関係までは中々知る由もありません。
とはいえ、親類縁者を延々と辿っていけば、どこの家族にも問題のある者はいるので、近しい親類に限定して判断する事にはなりますが・・・
基本的には、結婚相手の兄弟姉妹、叔父叔母、いとこ程度は調べた方がいいといえるでしょう。
その中に反社会的勢力に属している者がいるとか、犯罪歴のある者、薬物中毒者、ギャンブル依存症、多額の借金を抱えている者などが居る場合、結婚後にトラブルに巻き込まれる可能性は大きくなります。
結婚した当事者だけでなく、自分の家族まで巻き込まれる可能性もあるのが現実です。
結婚とはそれほどまでに重大な行為であるという認識も無く軽々しく結婚してしまう人が増えているのが昨今の現状です。
なので、現代において、結婚相手の身上調査という業務の依頼はかなり減ってきました。
差別的な要素もあるという意味合いもあり、結婚に関する身上調査には探偵も慎重になる必要があります。
そんな中、差別に該当するような調査ではなく、正当に身上調査をし、訴えられてしまった探偵が存在し、当社としても結婚に関する調査についてはかなり吟味するようにしています。
例えば、間違いない経歴や家族構成、その家族の経歴などは真実として調査するのは問題ありませんが、人伝の人物評価については主観が入るので注意が必要となります。
人物調査において、聞き込みは調査法の一つで、外せないものですが、出てきた評価は聞き込みした相手の主観となりますので、少数の意見だけでは判断できません。
なので、ある程度の数の聞き込みをするのがプロの調査ですが、それでも良い評価ではない場合があります。
それを正確に依頼人に報告したらどうでしょうか?
良い評価であればいいのですが、悪い評価が多かった場合、破談になる事も出てきます。
結婚する当事者が依頼人であれば良いのですが、家族が依頼人だった場合、色々な問題が出てきます。
しかし、本来であれば、結婚相手に対して盲目になっている状態を真実を知って冷静に判断できる状況に戻れるというプラス的要素の話です。
探偵は客観的に真実のみしか報告しません。
それによって、当事者たちがどのような状況になるかまでは責任はありません。
いいかげんな報告を探偵がしたのならともかく、真実を報告して、依頼した探偵を咎にするのは筋違いというものです。
知り合いの探偵が身上調査を行って酷い目に遭ったという話を聞いて思った事です。
誠心誠意行った仕事の結果が逆恨みとなるのでは、結婚前調査については依頼を受けないようにしようかと考えているところです。