主役の視点で見ないようにすると面白い
2023年02月28日
小説や映画、テレビドラマなどの物語は、主役目線での話に仕上がっているのが大多数といえるでしょう。
なので読んでいる人は主役の心情になってしまうのではないでしょうか。
主役はほとんどの場合、何らかの事情があるとはいえ、善側に当てられています。
もちろん主役がどう考えても悪人の物語もありますが少数といえるでしょう。
また歴史ものの物語となれば、実在した人物が登場しますが、その心情などや、史実として残っていない部分については、書き手の想像でしか表せないので、作者の主観が入ってしまうのは仕方がないことです。
現在、NHKの大河ドラマでは徳川家康の物語となっておりますが、最終的に天下を取り長期政権を達成した家康という事は誰もが知っている史実ですが、そこに到達するまでには善悪を越えた活動があったのは間違いないでしょう。
織田信長のよく言う是非も無しです。
良いも悪いも無い、勝ったもの勝ちなのは戦乱の世はもちろんの事、現代でも同じ事です
勝てば官軍負ければ賊軍とはよく言ったもので、負けてしまえばそこで終わりになってしまいますから、戦国時代であれば、それすなわち死ですから、なおさら謀略の限りを尽くして戦っていたのでしょう。
今回の家康については、幼少の頃はほとんど省き、桶狭間の戦いから始まるストーリーになっています。
この時点では今川軍の一員として家康、当時は元康という名でしたが、織田軍と戦いました。
今川の当主が織田軍に討取られてしまい、敗戦してしまったので、家康は元々自分の領である岡崎城へ一旦戻る形となりましたが、今川氏が全滅した訳ではないので、家康もまだ今川軍に在籍している形なのですが、家康は一方的に独立宣言をし、今川と手を切りました。
今作では、今川軍の拠点となる駿府に帰りたいと家康が言っている描写があり、それを家臣が拒否し、泣く泣く岡崎に残ったという話になっていますが、この辺りはやはり主役を悪くしたくないという事情があると思われます。
そして織田と手を結び、今川を敵として戦い出すのですが、義元の息子であり当主である氏真の視点になってみれば、家康を逆賊と思うのも当たり前と言えますし、そういう表現も入れてある所はよく出来ていると思います。
しかし、観る側が主役の視点にだけなると、主役のしている事がみんな正しいように映ってしまうので、これだとあまりにも単純なものの見方となります。
元より支配的で残酷な所業をした信長やそれを継承する為にはさらに何でもやった秀吉、しかし最後に天下を獲ったから家康は正義なのかといえば、そうではありません。
家康だって裏切りもしたし、嘘も付いたし、残酷な事もしてきたのも事実として考えて観るとさらに面白くなると思います。