知恵と工夫
2022年08月28日
探偵の調査法を教えますというような本やネットのサイト等がありますが、昔からある基本的な手法や、今では通用しないような古い技術、そして熟練したプロでないと出来ないようなものや、荒唐無稽なフィクションの世界に出てくるような情報収集法を網羅しているものばかりです。
さすがに、業界の裏の部分を声高に言う奴はあまりいませんが、最新の調査法をひけらかすものはあまり見受けられません。
結局のところ、人が身をもって行う調査においては、昔も今もほぼ変わりは無く、ただ、使用する機器が昔とは比べ物にならないほど進化しているので、中間が抜けているような状態が最新の調査法といえるでしょう。
ただ、最新機器は使う側においては、便利になったというだけであり、昔の機器を使用して調査する事も可能であり、そこは技術がものをいうといえるでしょう。
ある中堅探偵社から独立した人が、まだ資金不足で色々な機器が揃えられない時期の頃、ビデオカメラとアクションカメラ程度の道具で、調査をこなしていたのを見たことがあります。
そして古くても新しくても、機器の使用法や、調査法は知恵と工夫でどうとでもなるのです。
なので、探偵事務所によって調査手法に違いが出てくる事がありますし、同じ業界だからといって基本も同じとはいえません。
例えば、調査車両においては、基本的なものは同じでありますが、あらゆる車両を試したことがある探偵社はあまり無いといえます。
どういう事かと言いますと、調査車両の選定は、探偵の場合、目立たない色や車種という事になります。
つまり、ありふれた車であって、対象者からすれば、道路を走っていれば、何度も見かけるような大衆車がベストな車選びとなります。
具体的に言えば、ワゴン車や中型のミニバン等がよく使われています。
色は白や黒、シルバーやグレー等が多いといえます。
これはあくまでも基本であって、これをさらに突き詰めると、軽自動車のワンボックスのバンになります。
もちろん、全ての現場で通用はしませんので、調査車両の一つとして揃えておくと良いという事です。
何が軽のバンが有効かと言いますと、建設や設備関係の仕事をしている方達、それ以外の仕事用の車として使用している業界や人が凄く多いと言う事です。
そして商用車であるので、余計な装備が無く、車内は鉄板むき出しの部分が多く、これが探偵にとってとても役立ちます。
見かけでしかものを見れない探偵は、そんあ安っぽい車しか用意出来ないのかと思うかもしれませんが、一回使ってしまえば、手放せなくなります。
鉄板がむき出しという事は磁石が使えるという事です。
磁石で、黒い布をカーテン代わりに車内に仕切りを作れば、車の中を無人に見せる事も可能であり、カーテンの隙間から自由自在に対象者を撮影する事も出来ます。
そしてその小さい車体が、住宅街に停車していても邪魔にならず、また作業用の車と思ってもらえるので、不審車両として扱われないというメリットがあります。
停車している近くの家で何か設備工事でもしているのかと思ってもらえるからです。
もちろん、高速道路で遠出するような調査の場合、軽自動車では不利になるので、別に普通車は必要であり、複数ある調査車両の一台として軽のワンボックスバンを用意しておくととても便利という話です。
ある素人や、見栄ばかりはっている探偵に、軽でももっといいのがあるぞと嫌味を言われた事がありますが、分かってないんだなぁと思い、説明もする気になりませんでした。
このように、探偵にとって、一般人には思いもつかない知恵と工夫が求められます。
聞いてしまえば、あぁそんな簡単な手法で調査しているんだと思うかも知れませんが、思いつくかどうかが大事なのです。