手掛かり無しの人探し
2022年08月12日
失踪者の捜索の相談を受ける事がありますが、最終的に探偵の所へ来た場合、もうどうしようもない状況という場合が多々あります。
警察への捜索願は受理されただけで特に動く気配も無く、自分達関係者で色々当たってみても、全く手掛かりはつかめない。
こういったどん詰まりの状態ではいくら探偵でも探しようが無い事があります。
ではどういった場合、ほぼ捜索は無理となるかと言いますと、世捨て人になって失踪したような人の場合です。
携帯電話も置いていく、銀行口座も無ければ、クレジットカードも無い、車も無ければ、住民票は元のままで転出転入はしていない、健康保険や年金は未払いで、当然の事ながらまともな事業所での仕事はしていない。
このように、まさに世捨て人としてどこかへ行ってしまった場合、すぐに見つかるような知人の所へ身を寄せる事はなく、そこに居るのなら家族がとっくに見つけているはずです。
となると一体どこへ行ってしまったのか?
考えられるのは、どこか遠くの身元を関係なく使ってくれる事業所で偽名で働いているような場合、よくあるケースはいわゆるドヤ街のような場所で日雇いの仕事をもらって生きているようなケースです。
又は、既に死亡しているという最悪のケースもあります。
事件に巻き込まれて殺害されていたり、富士の樹海のような場所に行き自殺をしていたという状況です。
事件に巻き込まれた場合は、海外に飛ばされたり、漁業の作業員として海上に居るという事も考えられます。
この場合は借金のトラブルがあったという前提が多くの場合に見られます。
死亡していたり、海外行きや漁船に乗せられているという場合はほぼ見つかる事はないです。
唯一みつかる可能性があるのは、生きていて日本のどこかで身分を偽り、日雇い労働者のような仕事をしている場合で、写真などの画像、それも割と最近のものが存在している場合です。
過去の若いころの写真では、老化して別人のような容姿になっている事もあるので、せいぜい5年以内の写真がある事が条件となります。
この写真を使用して日本中のドヤ街や住み込み労働をさせてくれるような事業所に総当たりで聞き込みをすれば、どこかで当たるかもしれません。
しかしこれは現実的ではありません。
一人の調査員を専属で日本中を回らせたら、そして調査日数が膨大になったら、調査費はすぐに数百万円になり、数千万円以上になる事も考えられます。
わずかな期待で、ドヤ街を回り続けたとして、もしも既に亡くなっていて、無縁仏にでもなっていたら、この世に存在しない人を探している事になり、調査を止めなければ、無駄な調査費が莫大に増えるだけとなります。
この現実を依頼人にきちんと話す探偵は少なく、着手金をもらって、調査の延長を提案し、見つからない失踪者を探すふりをしている悪徳探偵も居るので気を付けましょう。
大事件の犯人も何年も逮捕されずに逃げている場合があります。
警察は全国規模ですから、本気を出せばどうにかなると思いますが、それでもダメな場合があるのに、一民間人が失踪したからといって、全国の警察を動員するはずもなく、職務質問や別件の事件で、捜索願の出ている者がヒットしたら、そこで捕らえるという感じになります。
失踪者の捜索は、少しでも手掛かりがある場合にのみ、調査の依頼はした方がいいでしょう。
クレジットカードを使用しているとか、新たな銀行口座を作っているとか、免許証を更新している、車も乗っている等、ある程度の手掛かりがあれば、探偵ならそこそこ見つけてこられます。
しかし、世捨て人にでもなってしまっていたら、調査をすべきかどうかは良く考えた方が賢明です。