不思議な依頼3
2021年08月17日
電話で散々嫌味を言われた後日、報告日となりました。
また夫婦で来るのかと思いきや、なんと今度は3人で来ました!!
聞くと、奥さんの母親とのこと・・・
まぁ家族が一緒に来るのは別にかまわないので、もう何も言いませんでした。
とりあえず、報告をしようとすると、電話の続きの文句の嵐が吹き荒れ、今度は旦那さんまで参戦する始末・・・
共通の敵が現れた事により、前回の姿とは打って変わり、水を得た魚のように気が大きくなって奥さんに同調し、事の本質をずらそうと必死になっている姿が透けて見えました。
こりゃ~、理屈で言っても無駄かな?とも思いましたが、一つ一つ順を追って話していくしなないかと思い、お婆さんがどう出るかは気になりましたが、とりあえず調査結果を聞いてから、不満は聞きますと伝え、報告をしました。
まずは、レコーダーで録音した音声を聞かせ、生の声を聞けば、正当に調査してきたことが分かると思い、聞いてもらいました。
すると、電話での仮報告と同じ内容の音声が流れ、きちんと聞き取りをし、証言をもらっている事が分かると、調査に対する不平は無くなったようです。
そしてその内容とは、旦那さんは誰が見ても絵に描いたような真面目な男であり、奥さんが危惧しているような乱れた事はしていないと思うという証言でした。
しかし、奥さんの疑いは晴れません。またしても、どこで聞いたのか? 何時頃に聞いたのか?と調査結果に納得がいかないようで、さらに、旦那さんも参戦してきて、証言者の話が事実かどうかは分からないという事をいちいち言う必要があるのか?と言ってきました。
さらには、プロですよね?と言ってくる始末・・・
こうなるともう感情的にいがみ合っている夫婦の発散相手の様相になってきましたので、少しキツめに物事の筋道を話してやりました。
まず、証言者の音声記録があるので、こちらで改ざんしている事は無く、これが客観的には事実であること。
そして、この証言をどう捉えるかは、依頼人側の主観であり、調査事務所は基本的には客観的事実を報告するのが正当な業務であること。
依頼人が気分よくなるような報告をする為に、虚偽の話は出来ないという事。
プロなのか?と失礼な事を言ってくるが、プロだからこそ真実しか伝えられないし、真実しか話せないという事。
それらを踏まえて、あえて個人的に主観的な感想を言うと、証言者が嘘を言っているとは思えず、証言者が知り得る範囲での対象者の行動には、問題は無いと思うと伝えました。
それでもまだグズグズ言っているので、一体何をどうしたいんだ?証言者に違う証言をしてもらいたかったのか?と声を荒げると、お婆さんが、探偵さんの言っている事は全て筋が通っている。
本当は言いたくない主観的な感想まで言ってくれていると言ってくれました。
唯一、まともな思考基準で話が出来る人がお婆さんで、最初は何しに来たんだと思いましたが、来てくれて助かりました。
母親の正論を聞き、奥さんも冷静さを取り戻したのか、そうですね、契約時に色々な注意事項を伝えられた時に、聞き取り調査なので、調査結果については、自分が裁判官になって、判断するという事でしたね・・・
と最後は納得されて帰っていきました。
依頼人夫婦に振り回された案件でしたが、こういった案件は二度とやらないように誓ったのを覚えています。
来社してきて、「私が依頼人で、隣の夫が調査対象です」こう言われた時に直感的に感じた違和感は当たっていたという事です。
本来、調査とは対象者に対して秘密裏に行うものです。
対象者と一緒に来社して、この人を調査してくださいと言われた時に、そういう調査はやっていませんと言えれば良かったのですが、今思えば、いい経験になったのかもしれません。
不思議な依頼はこれまでに色々ありましたが、これはある意味異色の依頼であり、関わりたくない案件です。
仕事とはいえ、いがみ合っている夫婦の板挟みになんかなりたくありませんから・・・