不思議な依頼2
2021年08月15日
過去の夫の浮気や嘘の事実があるかどうかの調査を、依頼人である妻と、調査対象者である夫が一緒に探偵事務所に来社して、面談をしているという実に変わった構図という所で前回は終わりました。
今回はその続きです。
面談前のメールでのやり取りで、ある程度の調査内容は把握していましたが、まさか調査対象も引き連れてくるとは夢にも思わず、一体何をしたいのか?という思いでした。
この夫婦は、元同僚同士であり、奥さんの方は一時的な臨時の職員として短期間勤務していたらしく、その時に交際し、以後結婚したようです。
結婚後十数年経過しているそうで、その結婚時に他の女の影があったというのです。
一般的に、十数年前の事だったら、浮気の事実があったとしても、心底許せない気持ちがあるにせよ、いまさら蒸し返して探偵に相談するまでにはならないと思います。
タイムマシンでもなければ、過去に戻る事はできませんから、過去の浮気調査は出来ないので、浮気の有無を物理的にとらえる事は不可能です。
それは理解してくれたらしく、当時の関係者に聞き込みをして、証言を取ってきてほしいという依頼になりました。
ここで、追加の調査が入り
・毎日残業と言っているが、本当はどこかに遊びに行っているのではないか?
・会社の飲み会で女性を口説いたり乱れたりしていないか?
・風俗に行っていたりしないか?
等も聞き取りしてほしいという事になりました。
普通に探偵と名乗って調査してかまわないという事でしたので、料金は安価な設定にしました。
聞き取りの対象は4人で、勤務先もバラバラ、退勤時間も駐車場も分からないという対象者も1人いました。
職場は分かっているので、なんとかなるでしょうという事で契約になりました。
ここで、一つ依頼人には断りを入れておきました。
聞き取り調査の場合、対象者の身近な方だったら、対象者に忖度して、本当の事を言わない事がある事。
10年以上前なので、記憶が曖昧になっている場合もある事。
他人の家庭を壊す恐れがある内容なので、当たり障りのない証言しかしてくれない可能性がある事。
これらの事を契約時に説明し、依頼人も調査結果については、自分で検証するので、それでやってほしいという事になりました。
とりあえず、全員と接触する事は出来まして、証言を得る事に成功しました。
録音して記録したので、聞いたことを書き起こしした報告書だけではなく、音声も聞いてもらえるようにパソコンに取り込み、報告時に聞いてもらう事にしました。
報告書の作業をしている時に、依頼人から電話が掛かってきて、どうなったか聞いてきたので、奥さんが危惧しているような事実は無かったというのが簡潔な結論ですと報告すると
聞き方が悪かったのではないか?だの、聞いた時間帯が悪いのでは?などと、ケチをつけ始めました。
とりあえず、正式な報告は後日にしますと伝え、この電話は切りました。
面談時に旦那さんをまくし立てていた態度がそのままこちらに移ってきた感じです。
契約時に、追加の調査も検討しているという話があったので、これ以上はこの調査は継続出来ないと判断し、契約者は旦那さん名義だったので、旦那さんから聞いていた携帯電話にその旨を伝えようと、電話をしたら、なんと電話に出たのは奥さんで、何でこの電話に掛けてきた?夫と裏で何かしているのか?と変な疑いを向けられてしまいました。
こりゃーやっかいな依頼を引き受けてしまったと思いましたが、時すでに遅し、とりあえず、報告書の引き渡しまでは我慢しようと思い、報告日に備えて事務作業を行いました。
そして報告日、事務所で待っていると、またまた理解不能な事が・・・
次回に続きます。