帰りたくない夫
2021年07月4日
以前、他社の応援に行った時の浮気調査の案件で、完全に無実な対象者だった話です。
ある有名企業のサラリーマンである対象者は、毎晩のように、奥さんの就寝後に帰宅し、自分の書斎にあるソファーで寝てしまうそうです。
顔を合わせれば、会話にはなっているそうですが、通り一遍の話だけで、旦那さんからの世間話などは一切無いとのこと。
仮面夫婦のようだと感じ始めた奥さんは、旦那さんに女の影を疑いだしたのが、今回の案件の発端です。
平日の会社への出勤を家から尾行し、出勤したかどうかの確認、残業を本当にしてるか、退勤時間の確認、退勤後の帰宅までの行動調査が今回の調査内容です。
調査してみると、旦那さんは通常通り出社し、退勤時間は午後六時過ぎ、残業はしていないようでした。
これは、退勤後に女の所へ行って数時間滞在してから帰宅しているのかと思い尾行すると、最短コースで自宅方面に移動し始めました。
もうあと100mという所で、通り道にあるコンビニに立ち寄って、缶ビール等のアルコール類とつまみを買い込み、コンビニ付近の公園に行き、ベンチに座ってビールを飲みだしたのです。
今日は、女とスケジュールが合わなかったのかな?と思い、翌日からの調査に結果を求めました。
しかし、翌日も、その翌日も、行動は同じでした・・・
毎日のように自宅手前のコンビニで酒類とつまみを買って公園で深夜になるまで時間を潰してから、帰宅をしているのです。
3日調査しても全く同じ行動なので、依頼人に経過報告をすると、とりあえず一週間は調査してほしいという事になり、金曜日までの調査になりましたが、行動は全く同じでした。
探偵側から第三者的に考えても、これは浮気はしておらず、何らかの理由で、家に帰りたくないのではないか?
という仮定が浮かび上がりました。
依頼人に、旦那さんと何かトラブルでもありましたか?と聞くと、首を傾げていましたが、少し遡って、旦那さんの帰りが遅くなり始めたころ何かありませんでしたか?と問うと
「あっ!」と何かに気付いた奥さんは、とても深刻な顔になり「あれが原因かも」と言うのです。
アレというのが何かは探偵には関係のない事でしたので、それ以上は聞きませんでした。
おそらく、旦那さんが傷つくような何か、家に帰りたくなくなるような何かがあったのだと推測できます。
社会に出て、色々なストレスを抱えながらも一生懸命に働いている人は、家は安息の場であってほしいものです。
その家に帰りたくないというのは、あまりにも悲しい環境といえます。
とても考えさせられる案件でした・・・