崩れた謀略
2021年05月10日
以前の案件ですが、ある中年の公務員が、同僚の先輩(上司?)と不倫をしていました。
奥さんにラインのやり取りを見られていて、浮気をしている事はバレていました。
奥さんは、調査対象の旦那さんから、離婚をしたいと言われていて、浮気相手と自由に会えるようになる為だという事を悟りました。
奥さんはラインの書き込み内容で、浮気相手が誰かも知っていました。
この時点で当社に相談に来られたのは、最高のタイミングでした。
まだ、浮気されている事を知らないフリをしている状態であり、旦那さんと浮気相手は不倫を始めて三か月位の時期で、お互いに夢中になっている様子であり、全くの無警戒だったからです。
調査は簡単でした。空振りする日もありましたが、この不倫カップルは、毎回同じ公園の駐車場で車の中で不貞行為をしていた為、それに応じた装備をし、それこを決定的な証拠を捉える事が出来ました。
しかし、不倫の期間が短い為、一回の証拠では弱いと思われ、複数回の証拠を得るまで調査してほしいという依頼者からの要望から、少し長期戦になるかと思われましたが、なんと週に三回も不貞行為をしていたので、あっという間に証拠が揃いました。
浮気相手の女性は夫と子供が三人も居る中年女性で、今回のケースはいわゆるダブル不倫です。
公務員という地位、それゆえの世間体、夫に不倫がバレるという恐怖、これらを鑑みれば、証拠を突き付ければ、直ぐに降伏するのは目に見えています。
そこへさらに重要なネタが入り込みました。
当社では、可能であれば会話まで録音する用意を常にしています。車の窓を微妙に開けたまま、対象者達が話している様子だったので、集音マイクを使い、会話を記録しました。
すると、対象者の奥さんは、少し前に遺産が入り、数千万の資産を持っているとの事を話しているのです。
離婚すれば、財産分与で、その資産のある程度は自分に回ってくるので、アパートを借りてそこで思う存分浮気相手と不貞行為を出来るという話の内容でした。
まだ、予定の三回目の証拠が取れていませんでしたが、奥さんが途中経過を知りたいというので、この録音音声も含めて、経過報告をしました。
奥さんはまだ離婚の意思を決めかねていたのですが、夫は離婚だけでなく自分の資産まで奪おうとしているのかと泣き崩れました。
しかし、相続した遺産については、特有財産として、自分だけのものであり、財産分与の対象にはなりませんよと伝えると、安心され、目の輝きが戻り、反撃の狼煙が上がったような雰囲気を出されたのです。
三度目の不貞行為の証拠が取れたと伝えた後、旦那さんから、真面目な顔で、離婚の話を切り出されたそうです。
さらには、二人の財産を半分に分けてもらうので、自分よりも数倍も財産を持っているお前から払ってもらうようになるぞと言われた所で、痛快な逆転劇が始まったのです。
奥さんは、離婚の原因は不倫でしょ! だったら財産分与どころか、こっちが慰謝料をもらえる話じゃないの!!と詰め寄りました。
旦那さんは茫然自失となり、何をバカなことをと惚けていました。しかし、ここで既に渡してあった決定的な証拠画像を突き付けられ、どうにもこうにも言い訳は出来ないと観念したようです。
が、奥さんは止まりません。 私のお金も奪って離婚しようとしてたんだね?と言うと、旦那さんはそれは無い、一時の気の迷いだから、離婚はしないよ、相手ともすぐに別れるから勘弁してくれと言い出したそうです。
しかし、さらに奥さんは止まりません。いつも車の中でしているよね? その車の中で私の財産を奪ってやるとまで言っていたよね?と完璧な事実を突き付けられ、旦那さんはしどろもどろ・・・
離婚はしてあげます。誰がこのまま結婚生活を続けていけるか・・証拠は揃っているのだから相手と一緒に裁判の通知が来るまで震えていろ! ちなみに相続した遺産は特有財産といって、財産分与の対象にはならないそうだから、お金を払うのは不貞行為をしたあなた達二人の方で、こちらからは一円も出す義務はないのであしからず・・・と言いきったそうです。
この夫婦の家は、奥さんの母親の家であり、この対象者はマスオさん状態で暮らしていたので、その日の夜に追い出されて、実家に帰ったそうです。
おそらく、この旦那さんは、ネット情報かなんかで、「離婚」で検索したら財産分与が出てきたのでしょう。しかしそれが遺産相続による財産だった場合までは調べなかったのだと思われます。
対象の二人はどちらも公務員で、同じ所属課勤務、庁舎から出て一緒に外回りにまで出る時まであるとの事、この二人が週に三回も不倫をしていた事がバレたらどうなるか?
おそらくは、それ相応の慰謝料を払ってくれるはずなので、少ない額で交渉しないようにした方がいいですよとと依頼人に伝えました。
それだけの傷を負わされたのですから、当然の要求です・・・
後から聞いた話ですが、相手からは500万円、元夫からは300万円の計800万円の慰謝料を払わせたそうです。
これを聞いたときは、実に痛快でした!
探偵に涙を見せ、今後の人生に希望を無くしていた依頼人様が完全勝利したのですから。