密室の不正を暴く調査
2021年05月8日
汚職、贈収賄、談合など、密室で行われている悪事を調査して証拠を得たいという相談が入ることがあります。
これらの犯罪を暴く場合、とてつもなく膨大な準備と事前工作が必要になり、費用対効果を考えれば、やるべきかどうかは予算がどれだけ潤沢にあるかによるでしょう・・・
ハッキリ言って、密室で行われている犯罪については、ほとんどが内部告発によるもので発覚しているのであって、対立する外部の者が直接証拠を掴みだしたと言う事例はほとんどありません。
公共工事の談合についても、先日、ある市役所の課長級の職員が官製談合で入札情報を漏洩したとして逮捕されましたが、これについても関係者が告発した事によって発覚したのであり、外部からの捜査や調査によって得られた証拠で逮捕されたわけではないでしょう。
市役所には、市長選で対立した候補を応援した者とそうでない者との派閥がある場合が多く、応援していた市長候補が落選してしまった場合は冷や飯を食う羽目になります。
それを恨みに思って、市長派の職員の不正の証拠を掴んで、内部告発するというのが一般的です。
不正をしているのですから、動機が恨みによるものだとしても、告発されても仕方がないですね。
役所の中での立場の優遇に加え、裏では金が飛びかっており、その原資は公共工事の税金から出ているといっても過言ではなく、権力を使った悪質な行為です。
話は戻りますが、こういった悪事の証拠を外部の人間がつかもうとした場合、調査する者自身が関係者になってしまうという工作をするか、関係者に情報をもらうかのどちらかになります。
調査員が関係者になるというのは中々ハードルが高いので、反対派の関係者を取り込んで、情報をもらう、又は証拠を掴んでもらうように協力を頼むという方法が現実的です。
これについても、いきなりストレートに話を持って行っても、信用してもらえるはずもなく、ある程度の期間、あらゆる手段を使って対象者に取り入る作業が必要となります。
要は内部の人間にスパイになってもらうのですが、相手は素人ですから、録音や録画を失敗する可能性もあり、見つかってしまったら、その人の立場はどん底に落ちてしまうので、積極的に協力してくれるような場合だとしても、その人の性格も見極めて、調査手法については熟練させる練習をさせないといけません。
もちろん、ただという訳にもいきませんから、謝礼も払う必要があり、ここまで行きつく間の労力と経費を試算すると、莫大な調査費となります。
これで、問題が解決すれば良いのですが、相手側にはトカゲのしっぽ切りという技もあるので、ラスボスまで倒せる証拠が掴めるのでなければ、お金の無駄になるだけです。
昔は、選挙の時には、実弾(お金)が飛び交っていましたから、運動員が金を配っている所を捉えれば、それが決定的な証拠となりました。
現在、こんな露骨な選挙違反をする者はほとんど居なくなりましたが、元法務大臣とその嫁が逮捕されたのにはびっくりしました。
これについても、司法取引のような形で、お金をもらった人に、正直に自白すれば罪に問わないという事で、何人もの証言者が出てしまった故の逮捕劇でした。
なので、密室の悪事を暴くのは、時間と労力とお金が相当掛かるので、自分自身が関係者かそれに近い人物でなければ、難しいのが現実です・・・