ストーカー男からの依頼
2021年03月29日
50代半ばか後半の薄毛の男が、自分が思いを寄せているというスーパーのレジ打ちの女性の身上調査の依頼をしてきました。
もう10年近く前の話ですが、ストーカー規制法は既に施行されていたはずです。
男は、自分が警察OBのような話をするのですが、単なる警備員であり、職場には警察OBは存在するでしょうが、自分自身はOBでもなんでもなく、どうにもこうにも話が噛み合いません。
自分が好きだという、あるスーパーのレジ担当の女性についても、交際しているような話をしたと思えば、住所が分からない、旦那さんが存在しているかもしれないと言い出し、それはつまり「不倫」の関係を対象の女性としているの?と問うと、そうではないと言い出し、全くもって話に整合性がありません・・・
で、一体どんな調査をお望みなんですか?と聞くと、女性が住んでいる家を知りたいというのです。なぜ知りたいのかと問うと、家に行って告白したいと言うのです。
さっきは既に付き合っていると言っていませんでしたか?と聞くと、もごもごと言葉にならない状態に・・・
ストーカー規制法もあるし、異性の所在調査は、探偵は慎重にならざるを得ないと告げると、そんなストーカーだなんて、もっての外であり絶対に違うというのです。
しかし、教えてもいないのに、あなたが突然対象の女性宅に現れたら、女性はびっくりするのでは?と言うと、それもそうだと納得し、相談内容が変わりました。
次なる相談は、対象の女性が勤務しているスーパーで、自分がどう見られているか調べて欲しいというのです。
自分がどういう評価を受けているのかという調査は、探偵の業務として昔からあるものですし、違法性も無い事から、それなら依頼は受けられますよというと、正式に依頼をしてきました。
早速、そのスーパーの店長か管理職の方とコンタクトを取り、依頼人の氏名と顔写真を見せ「この方からの依頼で、このスーパーで自分がどう見られているかの調査です」と話すと、対応して下さったのは副店長さんで、困ったような顔を見せ「お客様の一人です」と言うのです。
これは真意ではないなと思い「オフレコで話しますし、犯罪性があれば、依頼人といえども加担は出来ませんので、正直に答えてもらえませんか?」と告げると、副店長は「要注意人物として見ています」と言い出しました。
暇さえあれば店に現れ、買い物はするものの、レジは対象の女性の所にしか行かず、買い物が終っても中々帰らなかったり、女性が退勤するのを待ち伏せするような気配もあったりして、現在は対象の女性の安全の為、レジの仕事から外して対応しているとのこと・・・
やはりストーカー性のある行為をしていた男だと断定し、依頼人には、スーパー側としては「お客様の一人」だという認識でしかないという報告をしたところ「おかしいな、嫌がられている感じがするし」と言うのです。
このままでは、スーパーも対象の女性も怖いだろうし、救われないと思い、どういった行為がストーカーになるのかを教え、あなたのしている行為もその一部になる可能性が多分にありますよと告げると、納得して渋々帰っていきました。
数か月後、またその男から電話が鳴り、今度は別のスーパーのレジ打ちの女性が好きになったので、調べて欲しいというので「いい加減にしろ!!」と怒ったら、直接事務所に来所し、謝罪してきました。
世の中には、自分では正常だと思っていても、異常な行動を取っている人が存在します。ストーカーをするような者もそういった部類の人間です。
目を付けられた人は災難としか言いようがありません。