監視社会の対応
2024年08月6日
現在の社会においては、監視カメラや防犯カメラ、ドライブレコーダーや個人のスマホの撮影機能により、リアルタイムでの証拠映像が確保できる環境になっています。
これは、被害者側によってはとても利するものであり、加害者が証拠が無い事により、とぼける事が出来なくなり、決定的な証拠が常に提供される時代になったといえるでしょう。
数年前の高速道路でのあおり運転からの暴行事件においても、車内のドライブレコーダーの映像が紛れもない証拠としてメディアやSNSに拡散した事によって、社会問題になり、加害者の逮捕となりました。
これが、映像として残ってなかったら、どうなっていたか分かりません。
また、SNSが無かった場合、メディアが取り上げなかったら、警察も動いていたかどうかも分かりません。
警察は、個人間のトラブルにおいては、重大な事件に発展しない限り、お互いの和解をすすめるのが基本であってつまらない事を事件化しないというのが警察全体の方針です。
しかし、一つ間違えば命にかかわるあおり運転やその後の暴行において、被害者側としては、お互いに和解して下さいねと言われて「はい分かりました」とは言えないでしょう。
このような泣き寝入りをしてきた人は信じられないくらい多く存在しているのが実情です。
確かに、重傷を負わされたり、命を奪われたという大事件でもないのに、個人間のトラブルに全て関わっていては、警察業務に支障をきたすので、警察の方針も理解できます。
しかし、ストーカー問題もずっとこの調子で、実際に危害が及んでいないのであれば、つけ回されたり嫌がらせされても、警察はパトロール程度しか出来ないという事を言ってきて、凄惨な事件が多数発生した事により、ストーカー規制法が施行され、対応が強化されたという経緯があります。
このように、大事件に発展してからでは遅いので、事件を未然に防ぐと言う意味においては、ある程度個人間の紛争においても警察が介入すべきであると思います。
探偵にも、近隣トラブルの対策依頼が入る事がありますが、法的には完全に器物破損等の刑法に触れる行為においても、証拠があってすら、被害届を受理しない場合が多く散見されます。
しかし、最近ではSNSで、このような犯罪行為を受けているのに警察が動かないという話を動画の証拠付きで拡散し、警察も動かざるを得ない、またメディアも取り上げれば視聴率が上がると言う事で、積極的に社会に取り上げられて司法も動くようになってきました。
それはそれで良い傾向といえるのですが、家から一歩外に出たら、誰が監視しているか分からないという気持ち悪さもあります。
もちろん品行方正に生きていれば何も問題はないのですが、法律やモラルに反さないまでも、羽目を外すという事をしてしまうのが人間です。
誰がどこで自分を撮影しているか分からないという社会は、ギスギスして息苦しいような気がするのは探偵だからでしょうか?
探偵は対象者を撮影しますが、自分が撮影される事は極力嫌います。
自分からは見えるが相手からは見えない場所を探し、そこから撮影するのが探偵の技法です。
以前であれば、なんか不審な人が居る程度で終わっていたのですが、探偵がスマホで撮影されてしまうような時代になってきました。
一般人でも、道に唾を吐いた、立小便をした等の軽微な事ですら、スマホで撮影されて拡散されてしまう時代です。
確かに軽微な事でもやってはいけない事であり、良くない事ではあります。
しかしそれを司法関係者でもない一般人が取り上げ、ネットに拡散するのはいかがなものかと思います。
これの最もたるものが、ユーチューブの私人逮捕の動画でしょう。
私人逮捕をはき違えた者が暴力までふるって逮捕し、警察に突き出すという事を繰り返して、再生数を稼ぐという行為を行い、結局自分自身が本物の警察に逮捕されるという結末になりました。
なので、行き過ぎた監視社会は息苦しいのでやめた方がいいと思います。
前述したように、明らかな犯罪行為をされて、泣き寝入りするのはあまりにも理不尽で悔しいですから、そういった場合においては、映像に残すのは有りだと思います。
しかし、何から何まで撮影し、人の尊厳を貶める行為は良くないですし、その被害者にならないように生きなければならないのが現状です。
どこかで線引きをしなければなりませんね・・・