この世の裏
2022年05月13日
長年探偵をしていると、世の中の裏の面を垣間見る事があります。
人の裏の顔と言った方がより当てはまる表現でしょうか・・・
十年以上前の、ある浮気調査の話です。
性依存症になっている奥さんが浮気をしているようなので、調査をしてほしいという相談から始まりました。
話をお聞きすると、奥さんの性的な要求に応えきれない状態になり、逃げるようになっていたら、奥さんが夜間や休日に一人で出かけるようになったというのです。
それ以降は、性的な要求は人並みに落ち着いてきたとの事でしたが、どうやら外で解消してきている気配があるらしいのです。
という事で調査に入りましたが、証拠はすぐに摘まめました。
少し前に中絶をしたので、水子供養に泊りで行くと奥さんが言うので、その時に狙って欲しいという事で、行先も分かっていましたし、電車に乗る時間も判明していたので、尾行は楽でした。
尾行しながら、確かに子供を身ごもるのは女性の方ですが、水子供養であれば夫婦で行くのではないかという疑問が湧きました。
確かに二人の子供がいらっしゃるので、その面倒を旦那さんが見ていなければならないという実態もありますし、水子供養に子連れで行くのもどうなのか?という意識もあるのかもしれません。
しかし、浮気相手と水子供養に泊りで行くのはどうなのか?ととても疑問に感じました。
ここで浮かび上がってくるのは、実際の父親は浮気相手なのではないか?という疑念です。
浮気相手だって、他人の夫婦の水子供養に一緒に行って不倫するなんて罰当たりな行為をはたしてするものかと思ったからです。
医療的に処分されてしまった命ですから、DNA鑑定も不可能なので、どちらが子の父親だったのかはもはや知る由もありませんが・・・
裁判など行きつく所までやりたいという依頼人の要望なので、最低限以上の証拠はすぐに揃いました。
しかし、民事ですから慰謝料での解決になるので、裁判になると相場かそれ以下になってしまうので、法律家に頼んで相場以上の慰謝料を取ってもらったほうがいいのではないかと思い、法律家を紹介しました。
報告書の説明もあったので、自分も加わり三者で作戦会議をした時に、新たな事実を知らされました。
浮気している奥さんは、公立校の保健室の先生であり、現在心療系の疾患という事で長期病休をとっているようなのです。
確かに性依存症も心療系の病かもしれませんが、仕事を長期に離脱している最中に泊りで不倫に出かけられるなら、詐病じゃないのか?という事を法律家が口にしたら、それに近いが100%ではなく、精神的に不安定なのは間違いないと依頼人は仰いました。
まぁそう言うしかありませんね、夫としては・・・
不倫トラブルの解決には必要ない情報だったので、そこは無視して話を進めていきましたが、精神的なものが原因で病休を取っているという教師が相当数存在するという話は聞いたことがありますが、詐病で休んでいられたのでは、税金から出ている給料をもらいながら仕事はしないというのは問題だなと感じた案件でした。
このように、調査を進めていく中で、この世の裏の面を見させられる事が多々あります。
酷いケースでは犯罪かそれに近いものを見させられる場合もあり、告発すべきか迷う時もありますが、基本的に関わらないのが探偵の本分だと思いますので、大事件になりそうな案件でもなければ放置か、依頼自体を受けないか、受けた後でも解約するようにしています。