行方調査の限界
2021年03月23日
探偵には「行方調査」つまり人探しの依頼が入る事があります。
しかし、探偵は魔法使いではありませんので、どんな失踪者でも探し当てる事が出来るわけではありません。
ただ、通常の社会生活をしている人であれば、居場所を突き止める事はほとんど可能ですが、住所不定の人の場合は、そう簡単ではありません。
行先の手掛かりをほとんど消して居なくなる人は相当数いまして、例えば、車を使用していない、銀行口座を持っていない(キャッシュカードが無い)、クレジットカードを持っていない、携帯電話(スマホ)を持っていない、健康保険証を持っていない、住民票はそのままになっている、どんな友人が居るのか家族でも分からない、失踪前から無職だった等があげられます。
上記のどれか一つでも該当するものが有れば、そこからの手掛かりで行方調査をする事は可能といえば可能となります。
しかし、全てにおいて上記の手掛かりが無い案件の場合、いかに探偵といえども、捜索は困難を極めます。
探偵に行方調査の相談をするという事は、ほとんどの場合、警察に捜索願を出していて、警察の本気度が見られないので、探偵に・・・という流れです。
ただ、警察も事件性、それも重要事件に絡む失踪者でもなければ、業務の優先順位からみれば、一般個人の家族の一人が失踪したという案件は最下位に近い順位と思われます。
そういう現実もあり、一応捜索願は出しておくべきですが、警察は失踪者情報を登録するだけで、その捜索に人員を当てる事はしません。
なので捜索願を出しても、いつまでも見つからないという事になるのです。
警察が動いてくれる場合は、事件性がある時です。例えば、なんらかのトラブルで誰かと紛争になっていたとか、脅されていた等があげられます。
その場合でも、誰と紛争になっていたのかが分からなければ、どうしようもありませんが、携帯電話を置いていったのであれば、その中身から当りを付ける事が出来るでしょう。
また、携帯電話は持っていったという場合は、身体に危険が及ぶような状況と見られれば、携帯電話のキャリアからの情報で、GPSの位置情報や通信情報の開示をしてもらえる事が条件に合えば可能となりますが、これについては、かなりの制約があるので、依頼してもよほどの事でなければ実施してくれません。
基本的に災害に遭遇して行方不明になったとか、遭難事故、重大犯罪に絡む事件に巻き込まれた等がそれに当り、一市民の家族の一人が動機も分からずに居なくなった程度では情報は開示してくれません。
という事で、探偵が最後の砦となるのでしょうが、失踪者の手掛かりによって難易度が大幅に変わる行方調査なので、少なければ少ないほど地道な聞き込みを行って調査するしか無いというのが現実です。
その場合、調査期間も長くなりますし、そうなると調査料金も高額になるのはどこの探偵社でも同じです。
これらは、手掛かりが少ない場合の話ですので、失踪はしたが、通常の社会生活はしているとう対象者の場合は、探偵の調査網により見つけられる事は高確率で可能となります。