受件の失敗
2021年02月24日
探偵業者が調査の依頼を受ける事を受件と呼んでいますが、新米の頃はこの受件で失敗する事もあります。
受件で失敗というと、相談だけで契約にまで至らなかったという場合を考えられるかもしれませんが、それはさほどでもありません。
営業トークで高い契約を取るのを第一義としている探偵社もあるようですが、元よりそういった営業をしていない探偵事務所であれば、信頼して依頼してくださる依頼人様だけで構わないからです。
それよりも、依頼を受けてはいけない相手というものがあり、それらと契約してしまうと、とんでもないトラブルに発展する可能性があり、少しの売り上げ目当てて、なんでもかんでも依頼を受けてしまうのは、とてもリスクのある事です。
例えば、反社と呼ばれる反社会的勢力の方やその組織自体との契約や調査結果を犯罪行為に使おうとしている者、例えばストーカーを行おうとしている者等があげられます。
この他に、精神疾患を持っている方や、そこまで重症でなくとも、精神状態が不安定でまともな判断が下せなくなっている方等も、依頼は受けない方が無難です。
前者の犯罪者的な方との契約は、探偵業法が施行された後は、誓約書に反社ではない事の証明や、調査結果を犯罪行為に使用しないという署名が義務付けられた為、虚偽の誓約をしたのでなければ、犯罪者と契約する事は100%ではないにしても高確率で回避できるようになりました。
しかし、精神を病んでいる方の場合、重症な状態でなければ、探偵は医者ではないので、判別が出来ません。
このような心の弱った方からの依頼内容は、盗聴や盗撮についての調査が多数となりますが、浮気調査においても一定数入り、ストーカー案件にもあります。
浮気調査の事例の一つでは、何が原因かは不明ですが、旦那さんが隣県の観光ホテルに勤めている女性と浮気していると思い込み、浮気調査の依頼をしてきたというものがあります。
依頼人は普通に話せていますし、話に整合性もあるのですが、当社に依頼する前に別の探偵社に依頼して結果が出ず、再度の依頼だと言い、前の探偵社に不愉快な言動をされたと言っているので、おや?とは思ったのですが、悪徳探偵も存在していますので、その類かなと思ってしまいました。
しかし、調査開始となったら、ひっ切りなしに調査員に電話を掛けてきたり、まだ調査結果が出ていないのに、法律家に慰謝料の請求の書類の作成を頼んだり、旦那さんの浮気の事実はないという現実を報告すると激怒したりと、行動に異常性が見られだしたのです。
とりあえず、契約した内容は全部調査し、これ以上の調査は不可能と思い、継続するなら他の探偵に頼んでくださいと告げました。
すると法律家に、証拠も無いのに相手に慰謝料の請求など出来ないと言われたと言い、探偵と組んで浮気を隠しているのだろうから訴えてやる等と半狂乱になってきました。
法律家は、どうぞ訴えてくださいと呆れていました。
これ以降、面談時には最低限の案件概要を聞くのではなく、もう少し入り込んでお話を聞くようにし、精神的に弱ってないかを確認するようにする事にし、そういった方からの依頼はほとんど回避出来ています。
他の探偵と話しても、多くは無いが、このような方からの依頼が入る事はあって、とても困ると言っているので、全国的な問題なのだと思います。